2015年5月7日木曜日

「国民の司法参加」を議論

それに対して民事裁判では、どんなに訴えられても、それで社会的影響力を失うなどということはありません。民事裁判における被告の姿は、前回述べたようなものです。昨今の官僚不祥事、企業不祥事等にも、数多くの民事事件が絡んでいます。

今、日本の構造改革の必要が叫ばれ、経営者や官僚の責任なども取り沙汰されていますが、これらに対して、根拠法令も手続もなしに責任を負わせることなど土台不可能で、現状でもそれが可能だというのは机上の空論にすぎません。すでに終わった事件は仕方ないとしても、これからも日本国民は、官僚や経営者の責任を棚上げにしてしまう法制度と手続に甘んじていくのか、ということが問われているのです。

日本は資本主義経済体制です。きれいごとだけではすまない問題が沢山あります。世は拝金主義にまみれており、これを一体どうやって是正していくかを考える方が重要ではないでしょうか。人々の関心もそちらの方が強いのです。

「国民の司法参加」を議論するのであれば、刑事裁判のみならず、国民の経済生活・社会生活において、より切実な民事裁判についても深くつっこんだ議論をすべきです。民事陪審制が導入されるならば、民事訴訟制度だけでなく、日本の司法全体に抜本的な変革をもたらすことは確実です。