2014年12月2日火曜日

経済データはインターネットで得る

米国のホームオフィス事業主数は、一九九一年には一○○○万人であったが、九六年には二○○○万人に増加し、現在では四〇〇〇万人をこえているといわれる。その内訳は、企業テレコミューターが七六〇万人、勤務後に自宅で仕事をするテレワーカーが九二〇万人、自宅で仕事をする自営業やフリーランサーが二四三〇万人といわれている。ホームオフィスは、一九九〇年代の米国経済の再生に大きな役割を果たしたと評価される。二〇〇〇年には、テレコミューターだけで二五〇〇万人をこえるともいわれている。

ジョージア州アトランタでは、九六年のオリンピック開催をきっかけに、在宅・サテライトオフィス勤務が広まった。もともとアトランタは、全米一の交通渋滞都市といわれていた。オリンピック期間中に大混雑が予想されたため、テレコミューティソダが急速に広まったのである。現在では、アトランタ市の労働者の二三%が頻繁にテレコミューティングで働いており、時々働いているものも含めると五〇%に達するという。

AT&Tでぱ、社員の五五%がテレワークをしているといわれる。テレワークを導入したのは九二年だが、以後、企業の規模縮小が推進されたことにともない、すべての社員にデスクが必要ではないとされるようになり、オフィススペースの削減が進んだ。SOHOを「二〇人以下の事務所を構えるサービス業、情報関連、有資格業種」として捉えると、日本のSOHO人口は、推定約六〇〇万人だという(ただし、日本のSOHOに関しては、ほとんど調査が行なわれていないため、正確な数字はわからない)。

インターネットは、研究者の仕事スタイルにも、大きな変化をもたらす。たとえば、経済の実証分析を行なうには、統計データが不可欠だ。このため、印刷物の統計集を多数揃えていなければならなかった。しかも、つねに最新のものにアップデイトしてゆかなければならない。これは、多大の労力を要する仕事だった。

しかし、最近では、インターネットを通じて、かなりのデータが入手できるようになった。経済統計データは、無料で入手できる「公共財」になりつっある。これらの多くは、税金で賄われる政府活動で作成されるのであるから、こうした状態になるのは、当然だ。米国では、経済データの多くが、すでに公共財になっている。