こうしたディスカウントーストアの手法は百貨店や大手スーパーによって積極的に採り入れられつつある。百貨店は従来の返品制を見直し、「買い取り」制にすることで納入業者の負担を軽減して、その分仕入れ単価の引下げを実現しようとしている。また、最近「製販同盟」という言葉がマスコミにたびたび登場している。これは、メーカーと大手小売資本が協力して低価格商品を共同開発するというもので、味の素とダイエーの提携が典型である。
両社は共同で食品を開発、味の素が生産してダイエー系列の小売店、外食店に供給する。メーカーの技術と流通の消費者情報を組み合わせれば、開発コストを大幅に引下げられるし、また大手グループ同士が協力してそれぞれの商品を大量かつ計画的に生産することで、生産・物流両面でのコスト低下が実現できるというものである。その際、共同開発した食品ぱ世界に二九ヵ所ある昧の素の海外工場を生産拠点としてダイエーに供給するとされており、海外生産によるコスト削減も織り込まれている。
こうした包括的な提携関係にいたらずとも、すでに特定品目についてのメーカーとの「格安ブランド」の共同開発は多くのスーパーや百貨店が実施している。ディスカウントーストアの低価格戦略がそのまま他業態の大手小売資本に波及しているわけである。
しかし、こうした戦略が効果を上げるためには、売上げ数量の拡大による仕入れ力の上昇が不可欠となる。ダイエーと忠実屋の合併、イトーヨーカ堂とその子会社セブンーイレブンージャパンとの商品や素材の共有化による大量仕入れの試み、また酒類ディスカウントーストア三社によるドイツでのワイナリー(ぶどう酒醸造所)の共同運営や共同仕入れ会社の設立など、そのことを実証する事例は多い。今後、こうした「規模の利益」を求めて流通業界に一段の再編成の波が訪れるとする予測もうなずける。
2014年10月2日木曜日
自然環境を破壊する
発展途上諸国には、飢餓と貧困に苦しむ人々が数多くいます。地球温暖化が進むと、環境難民が飛躍的にふえることについては、前にくわしくお話しました。その大部分は農村に往んで、農業に従事している人々です。どうすれば農業をさかんにして、農村を活件化することができるだろう。これから二十一世紀にかけて、おそらくもっとも重要な政策的課題となるのではないかと思います。
この課題に対して、制度仁義の考え方にたつとき、どのようなり答が似られるのでしょうか。そのために、日本の農業がなぜこのように衰退してしまったのかを考えてみましょう。農業は、イネ、コムギなどの農作物をつくったり、鳥、豚などの家令を飼って、食川にあてる営みです。そのほかにもワタの綿花から本絹をつくったり、蚕の剛から絹をつくって衣服の原料とするのも農業です。森林から本材を伐り出す林業、海や川から魚介類をとる漁業も、ひろい意味での農業に今めて考えることもあります。しかし、農業の中心はやはり、川畑を耕して、植物を栽培して、食料にあてる営みといってよいと思います。
いずれにしても、農業は、生物を使って、その生命現象をうまく利川して、人類の生存、生活に必要なものをつくりだしているわけです。植物の場合、大陽エネルギーを使って、人気中の二酸化炭素と水を酸素と炭水化物に変えて、すべての生物が生きてゆくために必要な有機物をつくりだしています。この点、農業とは決定的に異なっています。生産に程で化石燃料の大量の消費を必要としますが、農業部門では、化石燃料を使わないでも、生産活動をおこなうことができます。
植物は、葉から、ニ酸化炭素を吸収し、根から地中の水を吸い上げて、葉緑素を使って光合成をおこない、酸素と有機物(炭水化物)をつくりだします。呼吸は、光合成によってつくりだされた炭水化物が酸素と結合するものですが、そのときに出されるエネルギーを使って、植物は、水や地中の有機物を吸収し、蛋白質、脂肪などをつくって成長しつづけることができます。食動物は、植物を食べて生きています。その草食動物を肉食動物が食べるという食物連鎖がつくられ、人間がその頂点にたっているわけです。
農の営みはもともと、太陽エネルギーと二酸化炭素という無限に存在する資源を使って、人類が生きてゆくために必要な食料をつくってきたわけです。工業は、化石燃料という限られた量しか存在しない資源を大量に使って、自然環境を破壊するだけでなく、大気中にニ酸化炭素を放出し、地球温暖化をひきおこしているのです。しかし、農の営みが、農業として、それに従事する人々の生計を支えてゆくためには、農機具、農薬などという工業製品を使い、電力、ガソリンなどを大量に使っています。
自然環境を破壊することなくヽまた二酸化炭素の放出量をできるだけおさえて農業をおこない、しかも農民がゆたかな生活をおくることがはたして可能でしょうか。この問題は、いま日本が直面しているいちばん重要な課題の一つではないでしょうか。
この課題に対して、制度仁義の考え方にたつとき、どのようなり答が似られるのでしょうか。そのために、日本の農業がなぜこのように衰退してしまったのかを考えてみましょう。農業は、イネ、コムギなどの農作物をつくったり、鳥、豚などの家令を飼って、食川にあてる営みです。そのほかにもワタの綿花から本絹をつくったり、蚕の剛から絹をつくって衣服の原料とするのも農業です。森林から本材を伐り出す林業、海や川から魚介類をとる漁業も、ひろい意味での農業に今めて考えることもあります。しかし、農業の中心はやはり、川畑を耕して、植物を栽培して、食料にあてる営みといってよいと思います。
いずれにしても、農業は、生物を使って、その生命現象をうまく利川して、人類の生存、生活に必要なものをつくりだしているわけです。植物の場合、大陽エネルギーを使って、人気中の二酸化炭素と水を酸素と炭水化物に変えて、すべての生物が生きてゆくために必要な有機物をつくりだしています。この点、農業とは決定的に異なっています。生産に程で化石燃料の大量の消費を必要としますが、農業部門では、化石燃料を使わないでも、生産活動をおこなうことができます。
植物は、葉から、ニ酸化炭素を吸収し、根から地中の水を吸い上げて、葉緑素を使って光合成をおこない、酸素と有機物(炭水化物)をつくりだします。呼吸は、光合成によってつくりだされた炭水化物が酸素と結合するものですが、そのときに出されるエネルギーを使って、植物は、水や地中の有機物を吸収し、蛋白質、脂肪などをつくって成長しつづけることができます。食動物は、植物を食べて生きています。その草食動物を肉食動物が食べるという食物連鎖がつくられ、人間がその頂点にたっているわけです。
農の営みはもともと、太陽エネルギーと二酸化炭素という無限に存在する資源を使って、人類が生きてゆくために必要な食料をつくってきたわけです。工業は、化石燃料という限られた量しか存在しない資源を大量に使って、自然環境を破壊するだけでなく、大気中にニ酸化炭素を放出し、地球温暖化をひきおこしているのです。しかし、農の営みが、農業として、それに従事する人々の生計を支えてゆくためには、農機具、農薬などという工業製品を使い、電力、ガソリンなどを大量に使っています。
自然環境を破壊することなくヽまた二酸化炭素の放出量をできるだけおさえて農業をおこない、しかも農民がゆたかな生活をおくることがはたして可能でしょうか。この問題は、いま日本が直面しているいちばん重要な課題の一つではないでしょうか。
2014年9月2日火曜日
総合金融化路線の盲点
批判を受けて、SECは十二月にようやく重い腰を上げて、証券化商品の格付けの透明性を高めるために格付け会社の報酬体系を抜本的に見直す方針を固めた。各国政府は格付け会社を包括的に監視する国際機関の設立を検討している。米国としてはそれに先駆けて国内ルールを整備する。ムーディーズやS&Pは証券化商品に関連した格付けビジネスで業績を伸ばしてきた経緯があり、今後は新たな収益源の模索を迫られる。○八年六月十三日、米大手銀JPモルガン(現JPモルガンーチェース)会長兼最高経営責任者(CEO)だったデニスーウェザーストーン氏ががんにより亡くなった。七十七歳だった。
融資から証券取引までさまざまな金融業務を展開したウェザーストーン氏はその革新的経営で知られる。米国で八〇年代から九〇年代にかけて、それまで商業銀行に禁止されていた株式引き受けなど証券業務が解禁されたのはウェザーストーン氏のおかげだ。そもそも、米国では大恐慌時代の反省から、一九三〇年代から銀行と証券の垣根を定めたグラスースティーガル法が制定されていた。だが、ウェザーストーン氏による米政府への働きかけにより、それまで禁止されていた銀行グループによる証券引き受けが六十年ぶりに復活し、その後九九年にグラスースティーガル法が見直される先駆け役を果たした。
証券引き受け、市場取引、融資など幅広い金融業務を提供する「ウッストップーショップ型」は、大手銀シティコープと大手証券ソロモンースミスーバーニーを傘下に抱えるトラペラーズーグループの合併による九八年のシティグループの誕生で、ウォール街の定番ビジネスとなった。ウェザーストーン氏が推進した規制緩和路線は、金融機関の収益拡大や資本市場の拡大につなかった半面、サブプライムローン問題の端緒になった野放図な不動産の証券化など高リスク事業も産んだ。
金融機関が債権者、引き受け、自己投資とさまざまな顔を持ち始めたことで、金融機関と顧客である投資家や企業との間で「利益相反関係」が生まれたのも事実だ。「驚きました。各当局が『金融危機を解決する監督権がない』と告白するのです」○一年から○三年までSEC委員長を務め、現在コンサルディック会社を経営するハーベイーピット氏はため息をつく。「銀行と証券の垣根を定めたグラスースティーガル法がなくなり、金融の自由化が進みました。だが行政組織の垣根が残って、規制の網が行き届かなかった」。
米国の規制緩和路線は、金融機関の収益拡大や資本市場の拡大が当初目的だった。例えば、メリルリンチやリーマンなどは証券会社なのに住宅ローン会社も経営しており、グループで融資したローンを証券化するという「川上」から投資家への販売という「川下」までを一貫して手掛けた。だが、一連の規制緩和に対して、規制当局が金融機関のリスク管理を監督していなかった結果、借り入れが膨らみ、融資基準が緩くなった。SECでは証券会社のリスク管理の監督部門を事実上廃止している。ピット元SEC委員長は、金融監督は現在のような業態ごとの縦割りでなく集約するべきだとみる。金融システムを監督する当局と業者を監視する当局の二つでいい。前者はFRBが担い、後者はSECとCFTCを統合させ、証券、保険、銀行などあらゆる業者を一元監督させる。現在、州政府が担当している保険監督局は後者に吸収させるのだという。
融資から証券取引までさまざまな金融業務を展開したウェザーストーン氏はその革新的経営で知られる。米国で八〇年代から九〇年代にかけて、それまで商業銀行に禁止されていた株式引き受けなど証券業務が解禁されたのはウェザーストーン氏のおかげだ。そもそも、米国では大恐慌時代の反省から、一九三〇年代から銀行と証券の垣根を定めたグラスースティーガル法が制定されていた。だが、ウェザーストーン氏による米政府への働きかけにより、それまで禁止されていた銀行グループによる証券引き受けが六十年ぶりに復活し、その後九九年にグラスースティーガル法が見直される先駆け役を果たした。
証券引き受け、市場取引、融資など幅広い金融業務を提供する「ウッストップーショップ型」は、大手銀シティコープと大手証券ソロモンースミスーバーニーを傘下に抱えるトラペラーズーグループの合併による九八年のシティグループの誕生で、ウォール街の定番ビジネスとなった。ウェザーストーン氏が推進した規制緩和路線は、金融機関の収益拡大や資本市場の拡大につなかった半面、サブプライムローン問題の端緒になった野放図な不動産の証券化など高リスク事業も産んだ。
金融機関が債権者、引き受け、自己投資とさまざまな顔を持ち始めたことで、金融機関と顧客である投資家や企業との間で「利益相反関係」が生まれたのも事実だ。「驚きました。各当局が『金融危機を解決する監督権がない』と告白するのです」○一年から○三年までSEC委員長を務め、現在コンサルディック会社を経営するハーベイーピット氏はため息をつく。「銀行と証券の垣根を定めたグラスースティーガル法がなくなり、金融の自由化が進みました。だが行政組織の垣根が残って、規制の網が行き届かなかった」。
米国の規制緩和路線は、金融機関の収益拡大や資本市場の拡大が当初目的だった。例えば、メリルリンチやリーマンなどは証券会社なのに住宅ローン会社も経営しており、グループで融資したローンを証券化するという「川上」から投資家への販売という「川下」までを一貫して手掛けた。だが、一連の規制緩和に対して、規制当局が金融機関のリスク管理を監督していなかった結果、借り入れが膨らみ、融資基準が緩くなった。SECでは証券会社のリスク管理の監督部門を事実上廃止している。ピット元SEC委員長は、金融監督は現在のような業態ごとの縦割りでなく集約するべきだとみる。金融システムを監督する当局と業者を監視する当局の二つでいい。前者はFRBが担い、後者はSECとCFTCを統合させ、証券、保険、銀行などあらゆる業者を一元監督させる。現在、州政府が担当している保険監督局は後者に吸収させるのだという。
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